アトピー性皮膚炎
生まれつき乾燥肌であるほかに、悪化させる原因として食物アレルギー、花粉やダニ、ペットの毛などの環境因子、ストレスなどが影響していることがあります。夏場に汗をかいて悪化する方の中にはマラセチアというカビの一種にアレルギーを起こしていることがあります。
従来のスキンケア、抗原の回避などで治らない重症の皮膚炎の場合は、皮膚炎を誘導するサイトカインというシグナルを遮断する注射製剤(保険治療)や、それぞれのアレルゲンエキスを薄めて注射する、個人にあわせて作るオーダーメイドの免疫療法(自費)があります。
保険診療
基本的にはステロイド剤を中心とした外用薬の処方です。
漫然と使用することをせず短期間の使用で減量できるよう、プロアクティブ療法(悪くなった時に塗るのではなく計画的に塗って減量していきます)で治療します。
ただれている皮膚からアレルゲン(抗原)が侵入すると、IgEという抗体ができやすく、様々な食べ物や花粉、ダニ、動物の毛などにアレルギーを起こします。
これを経皮感作といい、アレルギーを重症化させるので、出来るだけ早く治療することが大切です。
痒みが強い時には抗アレルギー薬を処方します。可能であればアレルゲンを回避します。
重症の皮膚炎治療:デュピクセントについて
このような努力にもかかわらず重症の皮膚炎があるときは、注射製剤デュピクセントを採用しています。IL-4とIL-13というサイトカインの働きを抑えることで皮膚の炎症を抑制します。副作用として頻度は低いものの、結膜炎が報告されています。また寄生虫に弱くなるので注意が必要です。現在は15歳以上で一定の基準を満たした方が対象です。2週間に一度の皮下注射で初回2本と追加1本を外来で注射しますがその後は自宅で自己注射することができます。 4か月使用し効果判定を行います。効果があれば1年くらいを目途に治療されることが多いようです。費用は1本が66,356円で年齢と収入、保険の適応区分により負担額がかわってきます。1か月に大まかではありますが45,000円程度と考えられます。高額療養費制度の利用ができます。
自費診療
エキス希釈液による経真皮(皮内)免疫療法
原因と推定されるアレルゲン(花粉、ダニ、カビ、動物の毛、食べ物など)から抽出したエキス(液体)をさらに何倍にも希釈して、皮内テスト(ツベルクリンのように皮膚に注射します)で症状がでない量(皮膚が腫れず、全身の症状も出ない量)をみつけ、週に2回注射します。テストでみつけた希釈アレルゲン量は皮内最大耐量と呼ばれ、それまで現れていたアレルギー反応を抑えてくれます。ヒスタミンを放出する好塩基球の活性を抑える量であることもわかってきました。比較的早期に効果が現れますが、週2回注射に来院が必要です。(遠方の方は別の方法もありますのでご相談ください) 6か月ほどは続ける必要があり、その後は個人にあわせて治療メニューを考えます。 この治療の特色は以下となっています。
※個人に合わせたオーダーメイドであること
※比較的早期に効果が現れること
※抗原特異的免疫療法 (特定のアレルゲンに対する治療)であること
不利な点としては、最初の皮内テストに時間がかかること(1項目1時間半程度)、皮内テストは痛みを伴うことです。そのため対象を5歳以上としています。
アレルゲンエキスは希釈して薄くなればなるほど分解が早く、時間がたつと効き目がなくなりますので、毎日来院の患者様にあわせて希釈液を作成しています。そのため治療は予約制となりますのでご了承ください。
費用
食物抗原 ・ 吸入抗原 |
初回 | 1項目につき:プリック検査+皮内検査+指導料 | 50,000円 |
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追加1項目につき検査料 | 25,000円 | ||
再診 | 週2回皮内注射 1項目につき | 750円/回 | |
追加1項目につき | 500円/回 |
特許公開番号:2019-112335
特許公開日 :令和1年7月11日
経真皮免疫療法における治療適量の判定方法及び判定キットの開発
プラセンタ注射
皮膚再生を促すため成人の方にはプラセンタ注射(皮下注射)を取り入れています。
費用
1回2アンプル(週に2回程度の治療が効果的です) | 1,500円 |
患者さんの治療成績 治療経過
学会発表
WAO/JSA 2020(国際アレルギー学会)
*Efficacy and Fastness of Antigen Specific Intradermal Immunotherapy using maximum intradermally Tolerated Dose (MITD) in Patients with Refractory Atopic Dermatitis
難治性アトピー性皮膚炎における皮内免疫療法の効果と即効性
※学会発表から一部抜粋、日本語へ翻訳(院長文責)
※1枚目はHP用に制作
第57回日本小児アレルギー学会学術大会 I-PAS(international Pediatric Allergy Symposia)
難治性小児アトピー性皮膚炎に対する皮内免疫療法の即効性と有効性について ※学会発表を日本語へ翻訳、一部加筆(院長文責)