新しいアレルギー検査機器 Silis100
新しいアレルギー検査機器 Silis100を導入しました
Q:どのような機器ですか?
- 6歳以上の方が検査できます。
- 45項目のアレルギー検査と総IgEが一度に検査できます。
- 採血量は40µlでごく少量でよいです。
(どうしても針が怖いお子様には指先から採ることもできますが採血よりは時間がかかります。ご相談下さい) - 1人につき15分程度で結果が分かります。
(結果についての詳しい説明や治療法などの説明は後日になる場合があります。ご了承ください。)
Q:どんな時に適した検査ですか?
- 小学校入学前にどんなアレルギーがあるか調べてきてくださいと言われたとき
- 花粉果物症候群を疑い、花粉や果物など多項目を調べる必要があるとき
- 食事をすると具合が悪いが原因が特定できないとき多項目を検査する必要があります。大人の食物アレルギーに多い、肉類魚類アニサキスの検査も同時に行えます。
- 通常の治療で治りにくい皮膚炎や喘息があるとき原因を特定するのに有効です。
スクリーニング検査(どんな抗原にアレルギーがあるか全般的に調べる検査)が
必要になってきた背景
最近小児の食物アレルギーでは卵や牛乳に加えナッツ類が原因となることが多く、ナッツによるアナフィラキシーも増えています。お菓子類にナッツがたくさん使用され始めたというのも原因ですが、皮膚炎が原因になっていることもあります。これを経皮感作といいます。乾燥皮膚や治りきっていない皮膚炎に空中に漂うナッツやその他食べ物の粒子がつくと、アレルギーの原因になります。食物アレルギーで皮膚炎もある時は、原因となりやすいダニ、ハウスダスト、動物の毛、カビなどにアレルギーがないかどうかを調べる必要があります。
またナッツアレルギーの場合はアナフィラキシーにつながることが多く、前もってナッツ全般にアレルギーがあるかどうかを検査しておくことで危険な症状が起こるのを少なくすることが出来るのではないかと考えられるようになってきています。このような理由でスクリーニング検査が大切な意味を持つようになってきました。Silis100は多抗原を少ない血液量で調べられるため特に小児に適しています。
Q:検査の欠点はありますか?
あります。自分でアレルギーと考えていなかった抗原のIgE抗体値が陽性になることがあります。検査値は陽性だが、症状がないとき、どうしたらよいのでしょうか。本当にそれが原因なのか判断は難しいです。特に食物抗原に関しては専門家の診断が必要です。
IgE抗体は即時性の反応を起こす抗体として知られていますが、最近アレルギーの治癒に関する低親和性のIgEがあることがわかってきました。検査ではアレルギーを起こす高親和性のIgEとアレルギーの治癒過程で現れる低親和性のIgEの両方が検出され、結果として示されます。
低親和性のIgEは体の中にあってもアレルギー反応を起こさないため、気にすることはありません。しかしこの2つがどの程度の割合で混ざっているのかはアレルギー症状の経過を見ながら判断することが必要なのです。例えば卵アレルギーで少しずつ食べる練習をしているとき、低親和性のIgEが上昇することがあります。治る過程でこういうことが起こるのです。同時に腸管で抑制性T細胞(T-regと呼ばれアレルギーを抑えます)も増えています。結果的に免疫寛容がおき、アレルギーが治っていき、IgEも減っていきます。もし、IgEの値だけをみて、アレルギーがあると考え除去してしまったら、せっかく腸管で生まれていたアレルギーを治す力もなくなってしまいます。検査結果を正しく理解して治療の方針を決めるためには十分な治療経験のある専門医の判断が必要です。